イスタンブルのトプカプ宮殿博物館には沢山の日本・中国の陶磁器が保管されている。博物館内の東洋陶磁器部門元責任者セルカン・ゲデュクさんに数多い骨董品の中でも貴重の作品を選んで頂き、その特徴を説明して頂いた。 陶器に象眼を施し、あるいは宝石を埋め込むといった工程は、オスマン宮廷直属の芸術家・職人集団であるエフリ・ヒレフ(Ehl-i Hiref)の宝石細工師や彫刻師によって担われた。16世紀後半以降は、中国由来の陶器に宝石をつけるという工程それ自体が、一つの芸術として成立した。 皇帝は、金や銀でできた器を多く所持していたにも関わらず、食事には陶器を採用した。シンプルで見栄えのしない陶器でさえ、宮廷の趣味に合わせて宝石で装飾が施されたのち登用された。陶器は時を経ても価値は落ちず、たとえ壊れたとしても宮廷の宝石細工師によって修理され、再び利用されるものとしてオスマン帝国時代常に使われた。 Mavi Beyaz Tabak 青白のお皿 14世紀 王朝 高さ45センチ 中国において今日までに発見された最古の青白陶器は、1351年もので、寺院で使用された花瓶2点である。元王朝期には約200点の陶器が作られていたと推測されており、このうち40点がトプカプ宮殿博物館に所蔵されている。 トプカプ宮殿における中国陶器コレクションの中には、祈りの言葉やコーランの引用が施されているものがある。これらは時に上薬の下に、時には上に描かれていた。いくつかの作品では、祈りの言葉やコーランの引用は完全に解読することはでいない。これは一つには、アラビア語話者でない中国の職人によって作られたことが原因と考えられている。さらに、陶器に魔除けのためになされたデザインであったり数字の配列の意味が秘密にされてきたことから、解読はさらに困難となった。 この類の器はオスマントルコ時代に王族が病気が治る又は病を避けるように使われていた。 ザムザム(メッカの聖水)用瓶・ザムザム用水がめという名前で呼ばれた特別な陶器は、中東の商人のために18-19世紀にかけ中国で製作された。これらの陶器は中国からインドを通りメッカに送られた。メッカにおいて売られたこれらの陶器には、巡礼者によって水がいれられ、各人の故郷に持ち込まれた。エヴリヤ・チェレビ旅行記はこれについて「巡礼者は、聖水を入れた水差しを、すべてのイスラム諸国に縁起の良い土産物として持っていった。これによって、数えきれないほど多くの水差しが町々にもたらされた。」 ザムザム用瓶は、おもに500ml-1Lの水を運ぶことができる。膨らんだ胴体に長い首、外にひらいた口部が特徴である。イスラムにおける偶像崇拝の禁止により、瓶に施された装飾は、上薬の下からコバルトブルーで描かれた水辺の木や花、家、小舟、川、山や丘といった自然の描写であった。陶器の上にはこのほかに、作者の印がみられた。 青白のひょうたん型瓶 日本、有田:1655-1660年、オスマン帝国:17世紀 オスマン宮廷では、蓋つきの陶瓶は花や果物やスパイスを用いて作られ、夏から冬にかけて飲まれるシェルベット(水、佐藤、薔薇水などで作る甘い飲み物)のために使われた。 宮廷内の工房で作られた金や銀、光沢のある銀、トンバック(装飾用黄銅)や真鍮の石座は、16-17世紀には陶器の壊れた部分を直し、または用途を変えるため、18世紀以降は装飾のために作られた。口部、首部、注ぎ口など壊れやすい部分は、宝石や装飾用の金属を用いて修理され再利用された。器や瓶、花瓶などはその用途を変え、オスマン帝国の趣味や使途に合わせたフレグランスディフューザー、洗面器、トルコ風水差しや菓子置き、シェルベット瓶や水筒といったものに変化していった。さまざまな目的で付け加えられた金属は、今日私たちが陶器の使途やその時代の装飾的特徴を理解するのを助けてくれ、またトゥーラや印の保存の意味でも重要な役割をはたしている。 セルカン・ゲデュク Serkan Gedük陶芸研究家イスタンブール大学文学部有形文化財保護修繕学士兼芸術史学士(2005年)ミマール・スィナン美術大学社会学研究所陶芸・ガラスデザイン芸術分野修士(2014年)2005年文化官公庁トプカプ宮殿博物館局にてコンサベーター・キュレーターに就任2006年から2019年にかけ、トプカプ宮殿博物館にて日中陶磁器部門責任者(主任キュレーター)として働いた。2019年コジャエリ考古民族学博物館館長に就任。ウラルトゥ(トゥシュバ)・ヴァン、エネズ(アイノス)・エディルネ、サムスン(アミソス)等数多くの発掘や水中考古学調査において文化官公庁を代表するとともに発掘調査員としても働いた。磁器の文化と歴史、陶磁器の補修・保全、水中考古学、博物館のマーチャンダイジングおよびリスクマネジメントの面で活躍している。セルカン・ゲデュクは2019年に東京および京都において開催された「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」にてトルコから派遣された専門家の1人であった。2か月余りの日本での滞在期間中、伝統的な陶磁器の産地を訪問。日本で唯一のトルコ人陶芸家ジェンギズ・ディクドウムシュのアトリエにも訪れ、日本における現代陶芸制作について知見を深めた。[email protected] Serkan GedükPorselen Uzmanı İstanbul Üniversitesi, Edebiyat Fakültesi Taşınabilir Kültür Varlıklarını Koruma ve Onarım ve Sanat Tarihi bölümlerinde çift
お久しぶりですね! トルコ神話に出る妖怪たち第2回は「Gulyabani グルヤバーニ」を紹介します。 「Gulyabani」は、体のあらゆる部分が毛で覆われている、大きい魔物です。腐っていて、足全体が後ろ向きです。人食いで、髭が長いことで知られています。昼間は墳墓に入って、夜中に目覚めます。旅行者に面倒をかけると言われています。 「Gulyabani」という言葉はアラビア語に由来します。「Ghul」という言葉は、「鬼」を意味します。この言葉は、トルコ語だけでなく、他の言語でも使われています。例えば、大人気の「Tokyo Ghoul」の「Ghoul」は、同じアラビア語から来た言葉です。 「Gulyabani」はトルコでよく知られている神話的な魔物です。この魔物がよく知られている理由は、「Süt Kardeşler」というトルコの有名なコメディー映画にこの魔物が登場するからです。この映画のお陰で「Gulyabani」は人々の心に刻まれたと思います。
第9回 やっと暑さは過ぎまして、爽やかな気候になってきました。 とは言え日中はまだ暑さがありますが、時間の問題ですね。 日本は台風シーズン真っ只中でして、先日の台風も大変でしたが、この前の台風被害に遭った地域はまだ復興途中ですから、心痛みます…( ノД`) しかし、元々台風通過経験が多く対策済みのわが関西地方も昨年は大変でしたから、何事にも備えは大切なんですよね… さてさて、前回から少し間が空きましたけれど、今回は。 基本的にこの連載は男性→女性→男性→女性…としてるので、まぁ、たまにはデュエットや男女混交のグループも良いかと思いまして。 Nilüfer
今日、イランとロシアでも存在すると信じられているアルカルスという魔物を紹介します。 これは、トルコ人が巫術(シャーマニズム)に帰依していた時から現在まで伝えられてきた俗信です。 アルカルスというのは、トルコの神話の有名な魔物の一つです。アルカルスは痩せていて、背が高く、そして指が長い女の人の形相をしています。子供を生んで産褥期を過ごしている女性に対して面倒をかけ、あし。産褥期を過ごしている女性は、一人で寝てしまったら、アルカルスが来て、その女の肺を食べてから子供を誘拐すると言われています。 アルカルスから身を守るために、女性たちは髪に赤いリボンをつけます。 今でも、トルコの様々な町でアルカルスの存在を信じている人は多くいます。女性たちは、アルカルスの存在を信じていなくても、ファッションとして髪に赤いリボンをつけています。