ファンタジー作家 メロディ・バッチ Melodi Bac

ファンタジー作家 メロディ・バッチ Melodi Bac

ファンタジー作家 メロディ・バッチ トルコのJ・K・ローリング と言われる若手作家のメロディ・バッチさん。 1995年イスタンブール生まれ。13歳の時、処女作「Yasak  禁断の旅(仮名)」を発表し、以来次々と新しい作品を生み出してきた。海外でも話題を呼んでいるシリーズ作の「Anka’nın Dönüşüフェニックスの再来(仮名)」は4部作の予定で、現在3作目の発表が待たれている。     Yasak 禁断の旅(仮名) 2011年 キャシーという名の若い天使が地球人のことを知りたいと地球にやってくる。そこで彼女はなんと地球人と恋に落ちてしまう。     Yasak II Crista 禁断の旅 II クリスタ 2012年 キャシーと恋人のマイケルが二人の恋を守るために全世界を敵に回して戦う物語     Anka’nın Dönüşü アンカの再来(仮名) 2015年 どこにでもい ような女の子カルメンは、ある日突然、自分が惑星クリクトスの女王アンカであることを知る。奪われた王座を取り戻すためにカルメンは長く危険な旅に出る。不死鳥伝説を勇敢生きていく少女の物語。     100. Nesil 100代目の宿敵  2016年 大座を取り戻したカルメンは、幸せの日々を送っていた。しかし、宿敵エンカは100世代目となり、強大なパワーを手に入れて彼女を殺そうとしていた。 カルメンは大きな惑星を治めるだけでなく、100世代エンカとも戦い、大きな儀栄を強いられることになる。本当の戦いの始まりである。。。 メロディ・バッチのトルコ語のウエブサイト http://melodibac.com/ Love Turkeyはメロディ・バッチとコンタクトを取り、今後も積極的に彼女の作品を紹介していきたいと伝えると、快く了承してくれた。楽しみにして下さい。

日本語で読む「ナーズム・ヒクメット」

日本語で読む「ナーズム・ヒクメット」

日本語で読む「ナーズム・ヒクメット」 トルコ文学を代表する詩人ナーズム・ヒクメットの作品は1960年代から日本でも紹介されている。広島の原爆で命を落とした少女をテーマにした「死んだ少女」は今でも日本歌曲として歌い続けられている。   トルコで8年間暮らした日本人の方がトルコ語から訳した詩をもとのトルコ語と一緒に紹介したい。 Heartland Asagoのブログから引用       「 KEREMのように 」 (KEREMはあるトルコ文学作品に登場する情熱的な男性の名) 空気は鉛のように重い! 叫び 叫び 叫び 叫 ん で い る 走れ! 鉛を 熔かす ために 呼 び か け て い る 彼は私に言う ― お前は自分の声の情熱で灰になってしまうだろうよ Keremのように 燃えながら 苦悩はあまりにも多く、しかしそれは私にとって無いにも等しい 心のなかの 2つの耳は 何も聞こえない 空気は鉛のように重い… 私は彼に言う ― 灰になってやろうじゃないか Keremのように 燃えながら 俺が燃えなければ お前が燃えなければ 俺達が燃えなければ 一体どうやって抜け出せるというのだ? この暗闇から明るいところへ 空気は大地のように肥え 空気は鉛のように重い 叫び 叫び 叫び…

オルハン・パムクを読むキーポイント
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オルハン・パムクを読むキーポイント

オルハン・パムクを読むキーポイント by 岩永星路 & 岩永和子 オルハン・パムクの小説にはいくつかの共通する特徴があると考え、まとめてみたものをご紹介します。ご意見ご感想をお待ちします。 1.東西という基軸 2.こだわりとあきらめ 3.古いイスタンブールと古さびたイスタンブール 4.変わるもの変わらないもの 5.自分が決めると信じている人生と予め決まった人生  1.東西という基軸 (Doğu Batı) 「東」とは 西洋教育を受けながら、歴史的に「西」と対立してきた地に生きる者の目に映る「東」。 著者だけでなく、この地を舞台とする小説の主人公たちもまた、「西」を意識している。西洋の卓越性を認め、惨めな気持ちに苛まされる。西洋で生きた経験はなく、「西」への好奇心が最も重要な関わりである。 「西」とは 「東」の人間が見る、見ることができる「西」。新しさと進歩を意味し、「東」とは異なり「西」の人間は何かに異議を唱え、それを変えることができる。「東」の人間は異議を唱えるだけで新しいことを成し遂げたと勘違いし、自分が進歩的人間であると思う。例えば、『ジェヴデト氏と息子たち』に登場する兵士は商人の兄を軽蔑するが、その実、兄の援助なしには生きられない。 2.こだわりとあきらめ (Takıntı Boşvermişlik) -こだわり 小説の主人公は、自分の周囲のありとあらゆるものを細心の注意を払って観察し、気づく。そして気づいたことは決して忘れず、その発見を別の場所で別のことと結び付けて考える。この観察力は多くの場合、執着の相を呈するまでになる。 -あきらめ 主人公には意識的なあきらめが見られる。「こうなることはわかっていたんだ。流れにはさからえないさ。」という考え方がそこここに表れている。主人公が常に行動しているように見えるのは、世界もしくは自分の未来が変えられると信じているからではなく、こだわりから逃れられず、そのこだわりが自分にとってごく自然な愛すべきものであり、刺激的であることと関連している。 -現代人の救いのなさ (Çağdaş insanın çaresizliği) 「こだわりとあきらめ」という基軸は、現代人の救いのなさを表したテーマである。教育を受けた人間の運命主義ともいえる。テレビや新聞などから世界情勢に通じた都市の教養人は、現行の世界システムを変えることはできないことを知りながら生きているのだ。 3.古いイスタンブールと古さびたイスタンブール (Eski İstanbul Eskimiş İstanbul) 「パムクのイスタンブール」は、大都市イスタンブールのたった3つの地区だけが焦点となっている。それは①歴史地区(旧市街)、②ガラタ地区(新市街)、③ボスフォラス海峡沿いを指す。歴史小説は①と②、自伝的著作は②と③が舞台となっている。その他の場所はあまりにも無視されているため、例えば『赤い髪の女』では、この3つの地区以外の場所は終始主人公が理解しようと努力する外国のように扱われている。 ①は「昔」と「東」を映し、②は新しかったがもはや古さびてしまったイスタンブールの「西」の顔を表す。そして③は「西」に憧れる「東」の人間の住む場所である。パムクはイスタンブールの路地を、そこに立つ家々を、さらにはその中にある家具を描写する。これらはかつて人が作り古くなったものである。草木、花、鳥など、再生を繰り返す自然界が描かれないため、すべてがもともと古いか、または時を経て古さびたものになる。そのため、もの悲しさが感じられる。(hüzün) 4.変わるもの変わらないもの (Değişme Değişmeme) 主人公の生活において多くの詳細が描かれるため、読者は常に新しい事件が起きていると思いながら読み進むが、ある時点で実は何一つ変わっていないことに気づく。これは一人の人間の生涯に関してのみならず、世代についてもそうである。『ジェヴデト氏と息子たち』では、トルコ共和国建国後に生まれた第三世代が、成長してなおオスマン帝国時代を、祖父の代の論点で議論している。また『雪』では、様々な政治や宗教の信条を支持し、それぞれ全く異なった目的意識を持っているかに見える人々が、テレビで大人気のブラジルの連続ドラマが始まるや、同じ画面の前に集まる光景が描かれている。 5.自分が決めると信じている人生と予め決まった人生 (Kendi Hayatın Sandığın Hayat – Sana yazılan (biçilen) Hayat) 自分の周囲を自覚的に観察し、すべてに気づく主人公たちは、小さな決断により自分の人生を自分で切り開いていると感じる。しかしうまくはいかない。結局は違った人生を生きることになる。何が違っているのか。自らが考え、わが人生と思った人生と違う。だがそもそも、自分の置かれた状況や与えられた条件を見れば、こうなるのは必至だった。これは運命のようなものだ。自分たちの人生は元から決まっていたのだ。彼らは必死に努力するが、結局はこの運命を見つけるに至るのである。 主人公は夢見た人生が実現しなくとも、与えられた道を進みながら幸せになれる。何はともあれ、やらなければいけないと考えたことをやっているのだから。